最終更新日:2020年3月4日

A.インフルエンザのワクチンは発症を100%防げるものではないため、予防接種を受けていても発症することがあります。しかし、ワクチンはその発症リスクをおよそ半分くらいに減らしてくれるほか、もし発症した場合でもそれが重症化することを防ぐ効果もあります。

ワクチンの発症予防効果

 インフルエンザは毎年流行するウイルスの型が異なるため、ワクチンの効果もシーズンによって多少の差がありますが、平均して60%程度ほどの発症予防効果があります1,2)。つまり、ワクチンを接種していなければ100人中10人が発症する事態を、100人中4人が発症する事態くらいにまで抑制する、ということです。わかりやすく図にすると、以下のようになります。

ワクチンの効果

 このとき難しいのは、ワクチンを打たなくても発症しなかった90人( )は、運良くリスクを回避できたことで「ワクチンを打たなくても大丈夫だった!」と感じてしまうこと、さらにワクチンを接種していたにもかかわらずインフルエンザを発症してしまった人( )は「ワクチンを打っていたのに罹った!」と感じてしまうことです。こうした個人の経験談がSNSなどでもたくさん発信されていることは、「インフルエンザのワクチンには効果が無いのでは・・・?」と感じてしまう原因の1つにもなっています。

ワクチンには重症化を防ぐ効果もある

 しかし、ワクチンを接種していたにもかかわらずインフルエンザを発症してしまった人( )は、何もワクチン接種が無意味だったわけではありません。インフルエンザのワクチンには発症を防ぐ効果だけでなく、重症化を防ぐ効果もあるからです。実際に、小児のインフルエンザ関連死を65%、成人の入院を53%ほど軽減するといった実績が確認されています3,4)
 インフルエンザを発症すると、38℃を超える高熱や強い筋肉や関節の痛みといった症状が現れるため、気分的には「重症化」しているように感じてしまいますが、ワクチンが防ぐ「重症化」とは死亡・入院といった生命に関わるような事態のことを指す、という点には注意が必要です。

 2回接種すれば99%の人が強固な免疫を獲得できる麻疹のワクチンなどに比べると、インフルエンザのワクチンにはそこまで劇的な効果はありません。しかし、発症すればとてもしんどい上、時に生命に関わることもあるインフルエンザの発症・重症化を防ぐ手立てとして、現状、毎年のワクチン接種は最も効果的な方法とされています5)。特に小児や高齢者、持病のある人、妊娠中の女性は、インフルエンザが重症化しやすい傾向にありますので、ワクチン接種がとても良い予防策になることを知っておいてください。

関連情報

※その他、水銀や自閉症に関する誤った情報に不安がある方は、こちらもご参照ください。
今さら聞けないインフルエンザの予防接種の話~ワクチンの効果と、よくある誤解

参考文献

1) Vaccine.29(9):1844-9,(2011) PMID:21195802
2) N Engl J Med.369(26):2481-91,(2013) PMID:24328444
3) Pediatrics.139(5):e20164244,(2017) PMID:28557757
4) J Infect Dis.13;220(8):1265-1275,(2019) PMID:30561689
5) WHO 「How can I avoid getting the flu?